※敬称略
●つづいてメニュー機能の話をお聞かせください。
垰野:メニューは本作のブルーレイ化にあたって新しいプログラムを開発しました。
横田:それは、BD-JというJavaによるプログラムを使ったものです。
●私は繪コンテが面白かったです。
横田:ピクチャー・イン・ピクチャーという機能ですね。これは、1作目のゴジラで採用しています。本編再生に合わせて、自由に繪コンテを出すことができる機能です。繪コンテのプログラムと、本編映像を、プログラム上で合成することができるのです。そのため、リモコンで簡単に繪コンテをオン・オフすることができ、スムーズが切り替えが可能です。現在のところ、ピクチャー・イン・ピクチャー機能は、国内の作品ではほとんど採用されていませんが、この機能は、進化させていけば色々と面白いことができます。
●ピクチャー・イン・ピクチャーはDVDではできなかった機能ですが、このプログラムについて、さらにくわしく教えてください。
横田:従来のピクチャー・イン・ピクチャーと呼ばれるものは、本編映像に繪コンテを合成して、エンコードしていますので、常に繪コンテが表示されている状態です。本編のみが見たい場合に消すことができません。ブルーレイでは、プレーヤー側で本編のHD映像とSD映像をピクチャー・イン・ピクチャーとして合成を行い、テレビに表示することができます。これにより、本編を見ながら繪コンテを表示し、本編と比較しながら視聴することができます。また、この合成はプレーヤー上で行っているため、シームレスにON/OFFをするこもでき、本編のみを見たいときにもリモコンのボタンで切り替えてご覧いただくことも可能になっています。
●それ以外に、DVDにはなかった面白い機能がありますか。
江波:もう一つの便利な機能として、ブックマーク機能があります。1作目のゴジラ以外にも、『東宝特撮Blu-rayセレクション』では採用しています。この機能は、本編映像に、しおりをつけていくようなもの。ユーザーが自由に選んだシーンを、いつでも呼び出すことができる機能で、ユーザー側で設定が可能です。自分のお気に入りの場面を、いつでも見ることができます。
垰野:本編の尺全体を示すプログレスバーみたいなものが表示され、そこにブックマークした箇所にボタンが表示され、本編上のだいたいどの辺りにブックマークしているかなども視覚的に確認することができます。
●メニューデザインについて教えてください。
垰野:ポップアップメニューを使用しているので、本編をみながら特典やチャプターなどのメニューを選ぶことが出来ます。ポップアップメニューには、アニメーションを追加して、動きを出しています。
江波:いわゆるポップアップメニューは本編再生中にメニューを出すことを指します。メインのメニュー待機画面中にアニメーションがでてくるというのはいいアイデアだと自負しています。ユーザーの方の、使いやすさを追求しました。カーソルを動かすと、色が変わるだけはなく、大きさや動きがつくのは分かりやすいと思います。また、ゴジラの購買層をかなり広い年齢層であると予想されますので、どの年代の方でも、使いやすかどうか、検討に検討をかさねてポップアップメニューを作成していきました。
●メニューをデザインされるにあたって、苦労が色々とあったのですね。
垰野:メニューは、本編コンテンツを楽しむための導入のようなものです。良い例えがディズニーランドの乗り物アトラクションです。乗るまでの間にちょっとした前体験をしてもらうように出来ていますよね。そのアトラクションの世界観に入り込んでいく為の導入セクションとして大切な役割があります。メニューもそんなメインコンテンツを最大限楽しんでもらう為の「ワクワク」を提供するセクションでもあるのです。各タイトルの世界観を最大限に楽しんでもらう為の「ビジュアル」「インターフェース」を作る事はメニューデザインの醍醐味でもありますが、大変苦慮する部分でもあります。
今回のBDメニューに関しては…。私は以前、東宝映像美術に在籍していた経験があり、撮影現場の雰囲気や特撮スタジオの独特なニオイを知っています。あの独特な空気の感じが特撮作品の空気感でもあり、魅力の一つでもあると思っていますので、各タイトルの現場から伝わるような空気感を大事に、メニューをデザインしました。
●リモコンのボタン配置や、プログラムとの連動など、使いやすさを追及される上でどんな苦労がありましたか。
江波:BD-Jでは、様々なメニュー表現(ブックマーク、プログレスバーやボタンアニメーション)をすることが出来る反面、そのプログラムの作成や修正にどうしてもお時間がかかってしまいます。
メニュー作成が終わり、実際に操作してみると、設計段階で想定されたイメージとは違い、「ここをもっとこうしたい」と思っても、作り直すのにかなりの時間を要してしまいます。
完成までの間は、終始、限られた作成時間との戦いが続くような感じで、一番苦労したところです。
●こうして、映像、音、メニュー機能が集まって、いよいよオーサリング(プログラム)をして一体化させるのですね。
横田:内容が盛りだくさんの作品ですから、オーサリング作業にも時間がかりました。ユーザー方への機能の使いやすさと、ブルーレイならではの楽しさを追求した結果です。そして、最後の検証作業もDVDの何倍も時間もかけました。
●ブルーレイは、映像や音質の良さだけでなく、便利で楽しい機能が付加されていることがよく分かりました。
●先ほどは、白黒作品の1作目ゴジラを中心にお聞きしたのですが、カラー作品「モスラ」についてお話を聞かせてください。ブルーレイ化にあたり、どのように綺麗になりましたか。
山崎:カラー作品に関しては、DVD映像では、色が濁り気味にみえていたところをクリアーにしました。そして、1作目のゴジラと同様に、ディテールがクリアーになりました。モスラの柔らかさ、体毛のふわふわ感が伝わる映像になっています。
●これも楽しみですね。
最後に、ひとことずつブルーレイのお薦めポイントをお願いします。
山崎:ブルーレイは、映画製作時のオリジナル原版のクオリティを維持しながら、ご家庭で楽しめる最高の映画クオリティをお届けできます。
垰野:是非BDメニューにもスポットを当ててご覧頂きたいです。「マイ・ブックマーク」などカスタマイズしてお楽しみ頂ける「メニュー技?」もありますので、愛蔵版として長くお楽しみ頂けるメディアになっています。
横田:ブルーレイでは、DVDとは違い、映画のような大画面で迫力ある映像と音声を再現することが可能になりました。是非、ご家庭でお楽しみください。
江波:BD-JはJavaをベースとした技術を採用しており、DVDでは実現できなかった機能を楽しんで頂けるようになりました。新しい技術にご期待ください。
村井:ハイビジョンの高精細な映像と、ハイクオリティーな音声をご堪能ください。
座談会 その2 -END-
【東宝特撮Blu-rayセレクション】ブルーレイ メニュー画面をご紹介します。
●「チャプター」
ポップアップ機能で、チャプターが簡単に選択できます。
●「特典メニュー」
ポップアップ機能で、いつでも特典を呼び出せます。
●「ピクチャー・イン・ピクチャーで観る絵コンテ」
本編を再生しながら、絵コンテをいつでも呼び出せます。
●「マイ・ブックマーク」
お好きな場面を選択して、オリジナルのチャプターを作成できます。